2005年3月10日木曜日

森まゆみ『昭和ジュークボックス』

毎日新聞の書評欄に紹介されているのを読み、さらに書店で南伸坊さんの軽妙な装丁を見て読んでみることにした。著者の思い出を写真と懐かしい歌で綴った個人的な昭和史という本だ。ぼく自身同じような時代を見てきて、さらに昭和30~40年代には惹かれるものがあるのでとりわけ新鮮な印象もなく、むしろ身内話や個人的な感情やら感傷やらがかえってかったるく、これといって感想もない。
著者は雑誌編集の仕事に携わっているそうだが、それにしても誤記誤植が多く、それも肝心要の歌詞の写し間違えや事実に反する記述がいくつかあった。
たとえば加山雄三の「蒼い星くず」は「たった一人の日暮れに見上げる空の星くず僕と君のふたつの愛が星にふるえて光っているぜ」じゃなくて「風にふるえて光っているぜ」だし、荒井由実の「翳りゆく部屋」は「窓辺に置いた椅子にもたれあなたは夕陽見てた」であり「夕陽を見ていた」ではない。山口百恵のデビュー曲が「ひと夏の体験」だなどと言うのはまったくもって恥ずかしい限りだ。
まあ著者ひとりのせいでもないだろうが、この手のプロ意識の欠如した本はちょっと勘弁してもらいな。
(2003.4.7)

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