大田黒公園は音楽評論家大田黒元雄の住まいを整備して公園にしたものだ。近くには角川庭園(角川書店を創立した角川源義の自邸)やまもなく公開される荻外荘(近衛文麿邸)もある。杉並の、ちょっとした文教地区である。とりわけ大田黒公園はこの時期、紅葉をライトアップする。寒くなるなか、来訪者も多い。園内にある池に映る紅葉が素晴らしい。
杉並区今川の観泉寺にも行ってみた。観泉寺は曹洞宗の寺である。区の広報誌に紹介されていたこともあり、訪れている人も少なくない。銀杏の黄色が鮮やかだった。
それでも東京の紅葉は力強さに欠けるように思う。ひ弱な感じがしてならない。そもそも紅葉は12月じゃないだろうし。これも地球温暖化のひとつかもしれない。東京という地理的条件もあるだろう。どうも目に鮮やかな紅葉とは必ずしも言いがたいところがある。贅沢といえば贅沢なのかもしれないが。
将基面貴巳(しょうぎめんたかしと読むらしい)の『従順さのどこがいけないのか』を読む。ちくまプリマー新書には中高生向けに編まれた教養体系という色合いを感じる。とはいえ、若年層向けだからといって軽く見てはいけない。以前読んだ菅野仁著『友だち幻想』などはこの新書のなかでも屈指の名著であると記憶している。本書もそれとに勝るとも劣らない一冊である。
何も考えを持たずに従順であること、服従することに対して著者は警鐘を鳴らす。歴史から、哲学から具体的な引用をする。文学や映画作品もそこに含まれる。読書経験も映画経験も乏しい僕ではあるが、読んだこともない見たこともない事例の数々に興味がそそられる。著者のこだわりなのか、編集者のリードがそうさせるのかはわからないけれど、巧みに青少年を世の中に導いていく。
少子化だとか人口減少が取り沙汰される今の社会であるが、こういった本が上梓されることに少しだけほっとしている。
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