2008年6月4日水曜日

齋藤孝/梅田望夫『私塾のすすめ』

梅田望夫がこんなことを言っている。

  僕が「好きなことを貫く」ということを、最近、確信犯的に言っている理由というのは、
  「好きなことを貫くと幸せになれる」というような牧歌的な話じゃなくて、そういう競争
  環境のなかで、自分の志向性というものに意識的にならないとサバイバルできない
  のではないかという危機感があって、それを伝えたいと思うからです。

大企業だろうが、零細企業だろうが、かつてよりたくさんの仕事をしなければいけない時代なんだそうだ。ITの進化とグローバリゼーションの波。情報はあふれているし、24時間365日世界は動いているからだ。

「貫く」かあ…。まあ僕のしている仕事なんかもまず「好き」じゃないとできない仕事なんだが、これからはますます競争も厳しくなるし、クライアントからのオーダーも過酷になる。僕も20代のころ、仕事は楽しくやれと先輩諸兄からよく言われたのだが、楽しくやるには相応の努力が必要だった。が、これといって自分なりの方法論を見出せないままあっという間に20年が過ぎた。
と、ついつい悲観的に考えてしまうのだが、本書のすぐれているところは、後ろ向きな姿勢はいっさいなし。常に前向きにこれからを生き抜く学びのヒントが盛りだくさんだ。そのキーワードが「志向性」であり、それもひとりでなく、同じ志向性を持つ何人かで成功体験を共有することの必要性が語られる。
この手の啓発書も単なる経験談に終始せず、きちんと理論武装され、時代を読み解くキーワードで整理されていると批判の余地もなくただただ感心させられてしまう。
だまされているんじゃないかと思うほど、ポジティブな一冊だ。

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