夏、母の新盆に姪家族が訪ねてくれた。姪の長男は小学4年生。特に話をしたり、どこかに遊びに行ったりしたわけではなかったが、おかしく楽しく過ごしたのだろう。帰るとき僕に向かって右手を高々と挙げた。僕は「来年もおいでよ」と言ってハイタッチした。
これまで読んできた森見登美彦とはちょっと違う小説。舞台が京都大学の周辺ではない。主人公は不思議や疑問、気づきを丹念にノートに書きとめる研究熱心な小学4年生アオヤマ君。なかなかしっかり者である。
僕の小学4年生はどんな子どもだっただろうとふり返る。
小学校には3学年上の姉と通っていた。姉が中学生になり、4年生から近所の友だちと通うようになった。子どもとして独立したのが4年生だったのかもしれない。考えてみれば4年生は無敵の学年だ。たいして勉強ができようができまいが気に病むこともなく、野球やドッジボールも上手い下手は関係なく好きなら好きでそれでよかった。俺、勉強あんまりできない子どもかも、とかクラスのなかでも俺って野球下手の方かもなどと考えるようになったのは5年生以降だと思う。自分が自分だけの世界で生きて楽しんでそれでよかったのは4年生まで。それを過ぎると自分と他者が混在する世界で生きる。誰かと比較されたり、比較したりしはじめる。生きていく辛さを感じはじめる。
アオヤマ君もアオヤマ君の世界を生きている。スズキ君といういじめっ子が登場する。アオヤマ君はいじめられてもどこ吹く風だ。スズキ君は妬んだり、羨ましがったりする。その点、スズキ君は大人である。
ある日突如として郊外の街に沢山のペンギンがあらわれる。ペンギンの出現は歯科医ではたらくお姉さんと関係があるらしい。このことがアオヤマ君の大きな研究テーマになる。アオヤマ君のことを「少年」と呼ぶお姉さんはたえず気になる存在だった。一度しかない小4の夏。お姉さんとの思い出をつくることができたアオヤマ君が羨ましい。
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