NHKBSで1996年に放映されたドラマ「照柿」が再放送されていた。
原作は高村薫。最初に読んだのは『レディー・ジョーカー』だった。以前お世話になったアートディレクターからおもしろいから是非と薦められたのである。その後DVDで映画を観てから、『マークスの山』を読み、この本にたどり着いた。
作品の発表順からすると、マークス、照柿、ジョーカーなのだが、3→1→2の順で読んだことになる。読み終えたのは2013年1月。もう10年前のことだ。当然記憶は薄れている。合田雄一郎シリーズはその後読んでいない。高村薫の作品は文庫化されるまでけっこう時間がかかったから。
このなかで最初に映像化されたのは今は亡き崔洋一監督の「マークスの山」で合田雄一郎は中井貴一が演じた。「レディー・ジョーカー」は平山秀幸の手によって2004年に映画化されている。合田は徳重聡だった。この作品は合田というより物井薬局店主の渡哲也のほうが主役という印象が濃い。ドラマの「照柿」では三浦友和が合田雄一郎に扮している。いずれにしてもどんなキャストがベストな合田雄一郎かなんてそう簡単には決められまい。
『レディー・ジョーカー』を読んだあと、最初の犯行現場である大田区山王や物井薬局のある萩中あたりを歩いたのを思い出す。『マークスの山』の読後は足立区小台や葛飾区金町、目黒区八雲などを歩いたっけ。この本を読んだあとは拝島や福生あたりを散策するべきだったのだろうが、残念ながら訪ねていない。都下の、個人的にあまり興味の持てない遠い地域だったせいもあるし、この物語における合田雄一郎がパッとしなかったせいもあるかもしれない。そういった意味ではキャストの三浦友和はベストだったかもしれない。
ドラマを見ながら、記憶の頼りなさを実感した。折あらばまた読んでみよう。熱のこもった工場と狭く薄暗いアパートの一室くらいしか印象に残っていないし。
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