朝からずっと家にいると、2匹いる犬が休日と勘違いするのか、散歩に行こうと誘いに来る。たしかに天気が悪くない限り、休日には散歩に連れて行くのだ。しばらく寒かったので午後はやめに家を出る。そのことを知ってか知らずか、たとえば日曜日ならNHKの「のど自慢」が終わるころになるとそわそわと視界に入ってくる。
打ち合わせで出勤する以外は家にいるから、ここ1か月は毎日のことである。小型犬なので果てしなく歩くわけではない。だいたい1.5キロメートル前後の距離を30分ほどかけて歩く(最近スマートフォンにアプリを入れたのでどんなコースをどれくらいかけて歩いたかわかる)。そんなことでもない限り、自粛ブームのなか、身体がなまってしまう。もしかすると飼い主が飼い犬を連れて散歩に連れてってやってるのではなく、しかるべき時間になると「行こうぜ行こうぜ、オレたちが連れってやるからさ」とそわそわしながらまとわりついてくるのかもしれない。
獅子文六再発見を仕掛けた編者が編む短編集が3月に2冊刊行された。ひとつはモダンボーイ篇と副題の付いた『ロボッチイヌ』、そしてモダンガール篇である『断髪女中』である。獅子文六といえば長編大衆娯楽小説というイメージが強い。短編小説は新鮮に映る。昔の小説だから、といって侮ることはできない。獅子文六の小説はその時代の産物ではあるけれど、普遍的な主題と味わいを持っている(どうも獅子文六再発見ブームにまんまと乗せられてしまった感がなきにしもあらずであるが)。
次は何を読もうか。ちくま文庫の『バナナ』か小学館文庫の『大番』か。東宝映画でシリーズ化された娯楽大作『大番』がちくま文庫のラインナップに入っていないのはちょっと惜しい気がする。
そうこうするうちに午後になる。
振り向くと2匹の犬が尻尾を振ってこっちを見ている。
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