仕事で絵を描いている。
というとちょっとアーティスティックな印象を与えてしまうかもしれないが、そんなにたいそうなものを描いているわけではない。テレビコマーシャルとかWebムービーなど映像コンテンツの企画の仕事をしている。絵など描かずに文章だけでもじゅうぶん仕事はできるんだけど絵があるとイメージしやすく意図が伝わりやすい。絵を見せてもわからない人もいるが。
絵を描くのはその日の気分でサインペンやゲルインキのボールペンを使う。立派な画材を使うような絵は描けないのでもっぱら、安価な筆記具とコピー用紙を使う。最近は0.5ミリとか0.7ミリのシャープペンシルを使う。
シャープペンシルといえば昔からノックボタンの内側に消しゴムが付いていた。
いったい誰が考えついたんだろう。たしかにとっさの場合には便利な構造である。考えついた人の頭上に電球が煌々と輝いたにちがいない。
ところがそこに付いている消しゴムは今どきのよく消えるタイプ(プラスティックイレーサーというらしい)のものではない。昔ながらの、下手をすると紙を汚したり、破いたりしかねない消しゴムだ。正直言って実用性に乏しい。使うとすればどうしようもないときだ。
別の見方もある。華奢なシャープペンシル(昔はシャープペンシルといえば500~1,000円はしたであろう高価な文具だったが、今は100円くらいで買えるし、それ相応の身なりをしている)はノックボタンがはずれやすく、それによって中の芯がこぼれ落ちやすい。消しゴムはその落下防止のための中ブタなのではないか。
久しぶりに漫画を読んだ。昨年映画化された『合葬』だ。
先日、吉村昭の『彰義隊』を読んだが、同じ彰義隊の物語でありながら、こちらは事件の全体像より幕府側の若者にフォーカスしている。息絶えようとする江戸時代。はかないサムライの命がはかなく描かれていた。
杉浦日向子はシャープペンシルなんか使わないんだろうな。