とあるCM制作会社の話。
その会社では作業があってお昼を食べに行けない社員のために蕎麦屋とか中華の店からほぼ毎日出前をとっていた。その際、社員の負担は少額の定額(たとえば一食300円とか)にして、給与から天引きしていた。また近くにおでん屋があった。夜は居酒屋みたいになるんだけど昼はランチがあり、そこでも会社名と名前を告げればお金を払わなくてよかった。同じように天引きされた。
食べるってだいじなことだ。
グーグルでは社内にマイクロキッチンと呼ばれる社員食堂やカフェテリアで無料の食事が提供されている。全世界で一日10万食におよぶという。
この制作会社の昼食は無料ではないけれど、外に出られない社員のことをよく考えていた制度だった。自由な発想とか工夫だとかはこうしたなんてこともないサポートから生まれたりする。
時間がない、昼飯どうしよう。今日ははやく帰って洗濯しなくちゃ、貯まっちゃってるからな。ずっと髪を切りたいと思っているんだけど休みがとれない、休日もやることがいっぱいで美容院に行けない。
実はこうした些細なことがイノベーションの障害になっている。グーグルのオフィスにはクリーニング屋がやってくる。移動美容室も訪れる。ちょっとした気がかりなことをちゃんと取りのぞくサービス、福利厚生がある。
この本はマイクロキッチンの本ではない。クリーニングサービスや移動美容室の話でもない。イノベーションを起こすためのクリエーティブなオフィスはどうあるべきか。その基本的な考え方から解き明かしている。グーグルの人事責任者が書いている。どんな人材をどうやって選んで採用するのかから語られる。
先のCM制作会社では経済環境、経営環境の変化から昼食補助制度はなくなってしまったようである。ああ、今日も昼飯抜きかなあ、コンビニで何か買って適当に済ませようかな、なんて思いが仕事にとってたいせつな発想を妨げてはいないだろうか。
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