2012年3月19日月曜日
新井範子、橋爪 栄子、まさきさとこ『foursqareマーケティング』
先日、紀尾井坂を歩いていたら、坂下からスーツケースを引っ張りあげている女性とすれちがった。
キャスター付のスーツケースは便利なところでは便利だけれど、不便な場所では徹底的に不便だ。思わず押しましょうかと声をかけようと思ったが、変に怪しまれたりするのもなにかと思い、ただ無言ですれちがうにとどめた。こういうことって後になって自分という人間がなんて不親切で勇気のない男なんだろうなどと思え、ちょっとした自己嫌悪に陥るものだ。
昔だったら絶対そんなことはなかったろうと思う。子どもの頃はよく行商のおばさんがリヤカーを引いて歩いていたものだ。そんなとき友だち同士で声をかけあい、「おばさん押してあげるよ」なんて言ってはぐいぐい坂道を上って行っただろう。そしておばさんは荷物の中からりんごだの、飴玉などをくれる。子どもたちは子ども心に「かえってすまなかったね、おばさん」などと思う。昭和40年代にはまだそんな光景があった。
公共広告機構のコマーシャルでお年寄りの手を引いて石段を上ってあげる高校生の映像があったけれども、どうも今の時代にそぐわないのである。見ていてありえないと思えてしまうのだ。自分の中でリヤカーを引く行商のおばさんの映像が浮かんだのはおそらく高度経済成長の影で貧しくとも、必死で生きていた人びとがお互いに支えあっていた、その時代の温度を思い出したからだろう。
ふたたびfoursquareの本。
紀尾井坂あたりには江戸城喰違門、近江彦根藩井伊家中屋敷、清水谷坂など素敵なべニューが多く、ときどきチェックインしている。
以前読んだfoursquareの本と比べると事例が多くて、これから導入を考えている人たちに期待を抱かせる内容になっている。もちろんジオメディアの導入がそれほど簡単なことじゃなく、どこまで効果が期待できるのかはまだ未知数だとしても。
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