2012年3月19日月曜日

小池良次『クラウドの未来』


150円のペットボトル飲料を100円で販売している自動販売機がある。もっと安いところもたまにある。
人間は不思議と安いものが好きである。
ついつい遠まわりをしてでも安い飲み物を買いに行ったりする。その差額はたかが50円硬貨一枚だが、仮に3本買ったとすると300円。150円なら2本しか買えない計算である(そんなことは計算するまでもなくわかる)。こうしたお得感はなにものにも変えがたい魅力なのであるが、遠まわりして買ったその帰り道にあれこれどうでもいいことを考えてしまう(こともある)。
そもそもが150円という価格設定ゆえに商品開発から、製造、流通、広告などなどの費用がまかなえているはずの商品が50円も値引きされるということは誰かがその損をかぶっているのではないかと思えてくるのである。なんとなくどの人も均等にお値引きされているのであれば、それはそれでよしとしよう。だがもし生産から販売までの過程で極端に報酬が削られている人がいるとしたら、いくらお得であろうが、素直にそれをよろこべないではないか。50円も値引きして商品を買ったものの、そのせいで誰かが損をしている、損をしているは言い過ぎだとして、あきらかに少ない賃金しか得ていない人がいる。もしそれが古くからの友人だったり、実は身近な人だったなどと想像してみたまえ。やはり素直によろこべない。
クラウドコンピューティングを読み解くキーワードは「超集中」と「超分散」。
今後ありとあらゆることがクラウド化して行くのだそうだ。情報システムや生活の利便性がデータセンターに集約され、処理されていく。コンピュータが世界を飲みこんでいく。
ただただ便利になる未来を、諸手を挙げてよろこんでいるだけでいいのだろうか。
ペットボトルの話はまたあらためて。

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