頼まれると断れない性格、といえば聞こえはいいが、実際のところ臆病なだけだったりする。
臆病なだけなら、まだいいが、これは君にしか頼めない仕事なんだ、などと言われようものなら、もうたいていのことをほったらかして、取り組んでしまう。やっている仕事のできばえはともかく、期待されることがきらいじゃない。これは性格というより、そう育てられたからなんだろうと思う。
何が言いたいかっていうと要は小さいながらも仕事が重なり、人から見ればそんなものは気球にのせたわたがしのようなごく軽い期待を重圧と解している情けない自分に今、直面しているということだ。仕事が楽しくないわけではない。ただそれより重圧の方が大きくなっているだけのことだ。もしかしたらそんなお年頃なのかも、そろそろ。
椎根和は往年の平凡パンチ誌の編集者。三島由紀夫とは出会いは、いわゆる作家と編集者という関係ではなく、文学者としての三島というより、当世の文化人、スーパースターとしての三島に接していたというのだからおもしろい。けっしてさげすんだものの言い方ではなく、いわゆる週刊誌の記者だったんだなと思わせる、日常的な三島観がおもしろいのだ。
とはいえ、三島の、俗な部分にもっと徹底的に光を当てるという書き方もあったのではないかと思う。ベルクソンやサルトルは異様な登場の仕方だと思うし、キリスト教的な話や横尾忠則やらビートたけしやら、あまりに多方面から切ってくるので焦点が定まらない気もする。専門書には短く、エッセーには長い、そんな印象の不思議な本だ。
そういえばしばらく三島由紀夫を読んでいない(『三島由紀夫のレター教室』ってのは最近読んだけど)。
読んでみるかな、久々に。
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