昨年定年退職したのだが、まだもう少し仕事もできそうなので、業務委託契約を交わすことにした。フリーランスとしてギャランティを貰うこともできるが、請求書を送るのも面倒だし、担当者に処理させるのも大変だろうから、仕事があってもなくても月々いくらと決めた(それもかなりささやかな額で)。言ってみれば業務のサブスクリプションである。
先月~今月は二本こなした。一本は去年の春から続いている案件でもう一本は新規の競合案件。後者は久しぶりに対面で打合せをした。コロナ禍以降、オンラインの打合せが増えた。それでも仕事のやり方は変わっていない。AIを使って、画像や音声、音楽を生成することに若いスタッフは取り組んでいる。そうした変化もあるにはあるが、お題を渡され、訴求点を整理して、次の打合せまでに表現にして持ち寄るという流れに変化はない。いつまで続けられるかはわからないが、まあ、やれるところまでやってみようと思っている。
講談社から「IN★POCKET」という文庫本サイズの雑誌が出ていた。文芸PR誌とでもいうのか、文庫の新刊情報や作家インタビュー、短編小説などで頁は埋められていた(と記憶している)表紙は安西水丸など当時売り出し中の若手アーティストが担当していた。大手出版社は「波」とか「図書」といったPR誌を発行している。それらにくらべると講談社のそれはカジュアルで若者向けのように見えた。
『回転木馬のデッド・ヒート』に収められている短編の多くは「IN★POCKET」に掲載されたものだ。どの作品にも共通しているのは、人から聞いた話である。聞き手は村上春樹本人だから、いずれも自分が主人公ということだ。ちょっとミステリアスで興味深い話を聞いている。本当に聞いた話なのか、村上自身が創作したのか、実際のところはわからない。
この本は今の仕事をはじめた頃に読んでいる。懐かしい再読であるが、内容はまったく憶えていなかった。
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