ドジャースに移籍した大谷翔平。オープン戦は好成績をマークし、期待は膨らむばかりだった。
開幕してみると一番バッターのベッツが絶好調であるせいもあり、大谷が本調子には見えないのである。ヒットは一日に1本か2本。なによりもホームランが打てていない。まるでこの春の選抜高校野球から採用された低反発バットを使っているようだ。何億という莫大な年俸をもらいながら、平凡な記録でシーズンを終えたらこれまでの賞賛が非難の声に変わる。そんなことまで心配してしまう。
常勝球団に移籍したことがプレッシャーになっているのではないかとも思う。これまでは(失礼な話だが)勝てば儲けもの、みたいなチームに所属していた。今年は違う。勝たなければいけないチームの一員であり、主力なのである。もちろんその程度の環境の変化で押しつぶされる選手ではないとは思うが、これだけ打てないと邪推もはたらく。単なる通訳以上のパートナーだった水原一平の事件もある。野球には集中していると本人は取材に応えているようだが、尋常でない金額を最も信頼していた男から騙し取られたとなれば、本当に大丈夫なの、と思ってしまう。
と、ずっと心配していたドジャースタジアムでの開幕シリーズ。チームは好調で勝ち星を重ねながらも、打てない大谷が気がかりでならなかった。
4月3日(日本時間4日)、開幕41打席目にしてついに今季初アーチ。
うれしかった。
成瀬巳喜男監督の「山の音」を観たのは10年近く前になる。
戦後の混乱がようやく収まりつつある時代。鎌倉のある一家の舅と嫁の心の交流が描かれている。この構図には既視感があった。小津安二郎の「東京物語」でも舅と戦死した次男の嫁が心を通わせる。奇しくも嫁役は原節子である。映画の公開は「東京物語」が一年はやいが、脚本執筆時に小津は『山の音』を意識していたのかもしれない。
映画を観て、原作を読みたいと思った。ようやく読み終えた。
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