2022年7月14日木曜日

安西水丸『たびたびの旅』

ここ何年か7月になると南青山のスペースユイで安西水丸展が開催される。
以前は年末や年始が多かったと記憶している。それに加えて5月には和田誠とのコラボ展が行われていた。7月開催になったのは安西の誕生月だからではないかと思っている。
今年も「SWEETS&FRUITS」と題された恒例行事を見るべく青山まで足を運んだ。もし本人が生きていたら、「スイーツってちょっと恥ずかしいよね」と言いそうなタイトルである。
その日はラグビーの国際試合日本対フランスが国立競技場で組まれていたため、JRの千駄ケ谷駅には赤と白のジャージを着た人たちでごった返していた。その人の波を逃れるように少し遠まわりする。鳩森神社の方から外苑西通りに抜ける。安西がよく通ったカレーの店の近くを通る。青山ベルコモンズもテイジンメンズショップ(その前はVANジャケットだった)もなくなってしまった南青山三丁目の交差点をわたってスペースユイへ。
安西水丸のイラストレーションは多くを見てきたつもりだが、はじめて見る作品も多い。今回もほとんど見たことのないシルクスクリーンばかりだった。
会場に小さな本が積まれていた。本書『たびたびの旅』である。アマゾンでは7月18日リリースとあったが、思いがけず手に入れることができた。もともとこの本は1998年に刊行されている。おそらくは80年代後半から90年代半ばにかけてPR誌やパンフレットなどに掲載された文章だろう。青函連絡船に乗りに行ったり、ふぐを食べに行ったり、北欧の町を訪ねたりしている。安西水丸の、いちばん活動的な時代だったかもしれない。
スペースユイを後にして、叔父の墓参りをする。歩いてもそう遠くない場所にあるのだ。持参した線香を上げて、青山一丁目へ。駅ビルの地下にあるビアレストランでカツカレーを食べた。安西水丸のイラストレーションを見たあとはいつもカレーライスを食べたくなるのである。

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