2021年1月15日金曜日

伊坂幸太郎『あるキング』

昨年はいちども野球を観戦しなかった。少なくともここ20年、いや30年、40年でも例のないことだ。
野球を観るもなにも試合が行われなかったのだから観に行きようもなかったし、開催された試合の多く(観たい試合の多く)は無観客で行われた。
東京六大学野球春のリーグ戦は8月に開催された。一回戦総当たり、観客は3,000人までだった。秋のリーグ戦は二回戦までで勝ち点ではなくポイント制で行われた。観客の上限は5,000人。行こうと思えば行けた神宮ではあるが、どちらかというと土日よりも勝ち点をかけた三回戦の月曜日に仕事をさぼって観るのが好きなので結局出かけることはなかった。
高校野球はセンバツも選手権も中止になり、独自大会と呼ばれる東西東京大会が開催された。春季大会も中止になったので、昨秋デビューした球児たちはいきなりの引退試合となった。秋季大会は予定通り開催されたけれどブロック予選から無観客試合になった。予選は当番校のグラウンドで行われるのだが、これも無観客。これまで多くのグラウンドを見てきた。特に西東京の郊外にある私立高校のグラウンドでのんびり観戦するのが好きだった。
無観客の大会に限らずテレビで中継される試合は大がかりな応援などもなく、打球音と拍手だけのシンプルな構成である。これはこれで野球の楽しみが感じられていい。
伊坂幸太郎は人気のある作家のようだが、これまで読んだことはなかった。例の、角田光代のおすすめとしてページをめくってみた。
架空の地方都市の架空のプロ野球チームという想定である。よく少年漫画などではありそうな設定ではあるが、小説となるとなかなか難しいものがある。書き手の力量が問われるテーマだ。まあ、架空の野球選手の話なので、打てばホームランということでもけっこうなのだが、あまりにも突拍子もない選手の出現がまるでおとぎ話のようである。
さて、現実の、今年の野球ははたしてどうなるのか。

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