古い本の奥付で見ると筑摩書房は、神田小川町にあったことがわかる。いつしか台東区蔵前に移転していた。以前、高校の友人T島としばらくぶりに会って名刺を交換するまで知らなかった。
浅草橋の問屋街は縁あって、幾度か訪ねたことがあるが、蔵前は知らない。子どもの頃は国技館があった。少年時代の大相撲の記憶のほとんどがこの地にあるというのに。
筑摩書房の社屋の一階を蔵前ちくま書店として書籍を販売する催しが先日あった。友人がいるからということもあるが、比較的筑摩書房の本は好きな方だ。梨木香歩の『ピスタチオ』や『水辺にて』など今でも娘の部屋の書棚に残っている。新書や文庫もよそと横並びのようなタイトルではなく、ユニークな品揃えだ。とりわけ文庫はホームランやあざやかなヒットより、小技を利かせた渋いニッチな作品が刊行されている。当たりはずれはもちろんあるものの、毎月の新刊情報が楽しみである(ついでに言うとちくまプリマー新書もいい)。
そんなこともあって蔵前ちくま書店を訪ねてみる。
店内の書架には文庫、新書、単行本が並ぶ。なかなかの眺めである。お客さんも多い。盛況だ。おもしろそうな本はないかさがしてみるが、これだけ多いとさがすのも面倒だ。しばらくしてT島が下りてくる。この書架はいつも通りの陳列だという。なあんだ。
話題になっている本は平積みされている。新刊本は入口付近にまとめて置かれている。新刊の単行本(岸本佐和子『ひみつのしつもん』と文庫の新刊(ナカムラクニオ『村上春樹にならう「おいしい文章」のための47のルール』)を購入する。他にも読みたい本はあるのだが、電子書籍化されているものも多く、荷物になるのでその日はここまで。
この小説は獅子文六最初の新聞連載小説だという。連載期間の1936~37年だから、実の娘が11~12歳。白百合学園に通っていた頃かもしれない。
この小説は獅子文六最初の新聞連載小説だという。連載期間の1936~37年だから、実の娘が11~12歳。白百合学園に通っていた頃かもしれない。
ちくま文庫の獅子文六、読了したのは、これで9冊目だ。
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