2009年7月27日月曜日

小野俊哉『V9巨人のデータ分析』

夏の高校野球。東西東京のベスト4が出そろった。
東の都立旋風の立役者小山台の健闘は称えたい。ぼくの生まれ育った品川の地からここまで甲子園に肉薄した学校はかつてなかった(はず)。小山台が勝てば準決勝で顔をあわせるはずだったお隣大田区の雪谷。昨年秋の覇者国士館を破っての堂々の4強だ。帝京対学舎もおもしろい一戦になりそうだ。学舎は今大会に入ってから勢いづいた。王者帝京を破るには、まず“勢い”が必(まあ抽象的な言い方だけどね)。
一方、西。
日大三が抜きん出ている気がするが、日野、小平の都立2校が勝ち残った。猛打の日野が日大三関谷をとらえられるかが準決勝の見どころだろう。日大二と小平はノーシード同士。勢いがある両校だけに壮絶な打ち合いが期待できる。
それにしても東亜は今回西の台風の目的存在だったが、さすがに日大三には歯が立たなかった。実は東亜に今年、娘と小学校の頃同級だった子がいて、つい応援に行ってしまったのだ。
4回戦早実戦。昨年決勝で悔しい思いをした早実にはそうそうかなうまいと思っていたが、意外や意外(といっては失礼極まりないが)相手エースの不調もあって中盤の大量点でコールド勝ちしたのだ。
同級生は敵失を誘う内野安打と絶妙なバントヒットで2安打と活躍した。

昔のプロ野球にはデータ分析なるものはたいしてなかった(はず)。おそらくはなんとなくの記憶で「ここに投げたら打たれる」とか「どうも左投げの投手から点が取れない」とか思っていて、そのおぼろげな記憶を頼りに作戦を考えていたのではあるまいか。まあ憶測の域を出ないのであるが。なんとなくだが、職人の“勘”と“経験”がものを言う世界だったと思うのだ。
近年、野球はデータでとらえらるようになり、それはある意味、“記録”もエンターテイメントのひとつになっているからそれはそれでいいんだけれど、やっぱりスポーツっていつ何が起こるかわからない不可視性にこそおもしろさがあると思うし、子どもの頃、まさにV9ジャイアンツの後半(V3以降かな、野球を見はじめたのは)を目の前で追っていたぼくにしてみれば、「だから川上野球は強かった」と整理されてもあまりピンと来ないんだ。
よくまとめられている本だし、たいへんなご努力もあったのだろうことは認めるのだけれど、そこで「うん、なるほど!」と感心し、納得してしまうにはV9巨人はぼくにとっていまだに光り輝いて、エキサイティングな存在なのだ。

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