2009年7月15日水曜日

フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』

ロシア文学とは縁遠い生き方をしていた。
学生時代をふりかえっても、チェーホフ、プーシキンくらいしか読んでいない。メインストリームであろうドストエフスキーなど1頁たりともめくったことはなかった。トルストイはまだ少年少女世界文学全集のような子ども向けの本で接してはいたが。
光文社の新訳は読みやすく、すいすいいける。長生きはするもんだ。
もちろん旧訳に目を通したわけではない。ややもすれば光文社の仕掛けに乗ってしまった感も否めない。まあそれでもいい。「いま、息をしている言葉で、もう一度古典を」というキャッチフレーズもいい。
1巻2巻を読み終わって、3巻の発売が7月だとわかった。その間におそらく登場人物の名前なんぞ忘れてしまうだろうとも思った。ところがしおりに刷られた登場人物の紹介もさることながら(これはとても役に立った)、2~3週間空いたところでそんなこともお構いなしなくらいストーリーが脳裡に焼きついていた。
新訳だからおもしろかったというわけでもなかろう。わずか数日間に起こるドラマをさまざまな登場人物を通して多角的に凝縮したところにこの小説の勝利があったように思う。
機会があれば『カラマーゾフの兄弟』にもぜひチャレンジしたい、そんな気にさせてくれた。


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