2006年4月6日木曜日

本間正人・松瀬理保『コーチング入門』

高校時代に所属していた運動部は伝統的に上下関係がきびしかった。ただそこには一本きちんと筋が通っていたし、先輩は恐いだけじゃなく、尊敬できる人たちだったから、ぼくたちもいずれは自分たちの先輩のような先輩になろうという思いもあった。

昨今のコーチング本を書店でパラパラめくりながら、部下を育てて、コンピテンシーを高めていくのってそんなたいへんな時代なのかよって思ってしまうのだ。個人の能力を高めるために、やる気を引き出すために、周囲の人たちは今こんな苦労をしているんだなと。
一般企業と体育会系学生組織とでは目的の質が異なるわけだし、その意識の共有度合いも当然異なる。世の中には仕事や人生に情熱も持てず、やる気も出ないまま一生を終える人間もいるだろう。そんなときに組織として生産性を高めていく手法がコーチングってことなんだろうね。もちろん人を育てたり、育てられたりすることで、業績が伸びたり、個人の能力が向上するのはいいことだ。心の中ではそんなもんがんがん鍛えて、ぼこぼこしごけばいいじゃないかとは思うものの…。
この本のキーワードは「傾聴」「質問」「承認」。いくつか目を通したコーチング本の中でもシンプルに整理されていて、とりあえずの一冊としてはベストだと思った。


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