著者の論が今注目されているのは、ややもすれば、誤解をまねかざるを得ない言葉の数々、その意味を問い直すことで、これまで多くの人々が見失ってきたものに光をあてたからだろう。
たとえば祖国愛。国益主義と誤認される愛国心という言葉は使わない。その見識が本書の太い骨格を支えている。さらにはわれわれが盲目的に信仰してきたであろう「近代合理精神」、「論理」、「自由」、「平等」、そして「民主主義」さえもものの見事に斬る。そして本当にたいせつなものは祖国にある、わが国の伝統、風土に根ざしているという。それがたとえば武士道だというわけだ。
君は日々、仕事に追われ、つきあいに追われ、自分を見失っていないか。君の心のふるさとにあるものを忘れてはいまいか。そういうことを語りかけてくれている本なんだなと思った。
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