2024年9月10日火曜日

江國香織『読んでばっか』

たしか6月だったと思う。昼間聴いていたラジオ番組のゲストが江國香織で新作の自著を紹介していた。読書論あるいは読書日記的な本なのだろうと思い、興味を持った。区の図書館で予約する。
江國香織は30年ほど前によく読んだ作家のひとりだ。当時は川上弘美や角田光代の作品も好んで読んでいた。江國の綴る文章の美しさにはとりわけ魅せられたものだ。
8月の半ばを過ぎて、ようやく貸出の用意ができましたとメールをもらう。2ヶ月待った。やはり話題の本なのだ。
ところがどうだろう。目次を追っても、所々目を通してもあまり楽しくない。僕が読んだ本が少ないのである。読んだことのない本の感想などあまり読みたくはない。もちろん読みたく思わないのはこちらの都合で著者の圧倒的な読書の量と質についていけないのである。そうこうするうちに返却期日が近づいてきた。佐野洋子のところだけ読んで、返しにいった。
手にした本を必ず読んでいるわけではない。買ってはみたものの読まなかった(読めなかった?)本はいくらでもある。代表的なのはマーシャル・マクルーハンの『メディア論』だ。たぶん公私ともに忙しかった30代の頃だろう。広告に携わる者としてマクルーハンくらい読まなくちゃみたいな風潮が当時あった。あったかどうかはわからないが、自分自身のなかにそんな風潮があった。あったというより勝手につくっていた。読みはじめて数十頁で読めなくなる。しばらくそのまま放置する。1~2年経ってもういちど最初から読んでみる。やはり数十頁で読めなくなる。放置する。こんなこと何回か繰り返していた(何回かも覚えていない)。この本はたぶん書棚のどこかに眠っているはずだ。そろそろ最後のトライをしてみてもいいかも。
そもそもこのブログは本を読んで感じたこと考えたことを今の生活や思い出などと照らし合わせて好き勝手に綴っている。読まなかった本について何かを書くのははじめてのことだ。

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