軽井沢に行くとついでに観光する。今回は佐久市内にある旧中込学校を見た。明治8年築の木造校舎で長野県の県宝に指定されている。木の廊下、当時の机やオルガン、教科書などが展示されている。昔の校舎の匂いがする。
帰りに長野に立ち寄って、善光寺にお参りに行った。せっかく信州に来たのだからと、軽井沢で二軒、長野で三軒の蕎麦屋に寄った。食べくらべてみると軽井沢の蕎麦は東京の蕎麦で、長野の蕎麦は信州の蕎麦であることがなんとなくわかる。信州の蕎麦は繊細さより力強さ、質朴さがある。ざるやとろろが主で、つゆも薄く、蕎麦をどっぷり付けて食す田舎風の食べ方をする。信州では蕎麦は生活の一部だったのだと思う。
中学高校時代にほとんど読まなかった本を、大学生になって多少は読まなければと思って、教育学の概論や昭和史、太平洋戦争史などを読んでいた。小説はまったくといってくらい読まなかったが、10代の終わりに突然大江健三郎を読みはじめた。そのきっかけは思い出せない。先輩に読めと言われたのかもしれない。周囲に大江を読む友人はいなかった。
『個人的な体験』は著者自身の体験をベースに書かれている。1963年に大江健三郎の長男が知的障害をもって生まれたことはよく知られている。このブログを書くにあたって、単行本をひさしぶりに開いてみた。そうそう、主人公の名は鳥(バード)だった。