2023年10月12日木曜日

凪良ゆう『汝、星のごとく』

10月になって、ようやく暑さがおさまった。
暑さ寒さも彼岸までとよく言われていたが、昨今のお彼岸はまだ暑い。とにかく7月から9月まで30℃を超え、さらに35℃を超える日々が続くのだ。来年もこんな暑い日が続くのかと思うと今から憂鬱になる。
が、急速に涼しく、さわやかな秋の日になった。これも不思議なことで、居座る夏の太平洋高気圧と大陸からやってくる秋の高気圧は秋雨前線をはさんで、勢力争いをする。その間梅雨時のように雨が続く。今年はそんなこともなく、一気に大陸の高気圧が張り出した(もちろん大気の状態が不安定になって雷雨が続く日もあったが)。それでも日中は25℃くらいにはなる。日なたは暑い。それでも湿度は低く、夏の蒸し暑さはない。朝晩はすっかり涼しくなり、寒いくらいの日もある。
新しい小説を最近読んでいなかった。
どうしたわけか家に本屋大賞を受賞したこの本があった。本屋大賞受賞作品は何冊か読んでいる。『舟を編む』以来かもしれない。いやいや『蜜蜂と遠雷』も読んでいるではないか。作者のことはまったく知らないが、今回の受賞は二度目だという。いつだったかラジオで紹介されていたのを思い出し、せっかくなので読んでみた。
最近の小説はすごいなと思った。両親の離婚でヤングケアラーのように母親と向き合う若者が主人公。ジェンダーについても、カルト教団への献金にも触れられている。ネットで炎上もしている。現代の諸課題が取り上げられている。
ちょっとした恋愛小説であるが、登場する人物のことごとくが不器用な生き方をしている。人間が如何に不完全な生き物であるかが前提になっている。矛盾に満ちたそれぞれの人生が率直に描かれている。
北原という化学の先生に興味を持った。北原先生を主人公にしたサイドストーリーがあってもいいんじゃないかと思った。そうしたら三度目の本屋大賞もありなのでは。いずれにしても読み応えじゅうぶんな作品だった。

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