2021年8月23日月曜日

瀧靖之『脳はあきらめない! 生涯健康脳で生きる 48の習慣』

近ごろの若いもんは、と長年言われ続けているうちにいつしか言う立場になっていた、ということがしばしばある。
映像制作会社の社長である知人が言う。最近の20~30代の社員は広告クリエイティブのことをあまりに知らなさすぎると。レジェンドと呼ばれるコピーライターやアートディレクター、名作とされる広告コピーやテレビコマーシャルに関する知識が皆無であると嘆く。仲畑貴志の話をするのに仲畑貴志とは何者であるかから説明しなければならないという。なかにはそんな知識必要ですかと逆ギレされることもあったらしい。これは映画製作が仕事であるのに、過去の名画や著名な監督をまったく知らないに等しいことで憂えるべき事態ではある。もちろん僕らの世代もその時代なりに不勉強であったことは否めないけれど。
そこで社長は月に何度か社員が集まる全社的な会議で最近の話題作(今広告関係の出版社などが話題のCMを雑誌やウェブで紹介している)を見せて、その制作にまつわるエピソードなどを紹介する勉強会をはじめた。
「演出は○○さん、皆さん知ってますか」
「………」
「この人は他にも□□や△△の仕事もしている有名な方です。おぼえておいてください」
みたいなやりとりをしているようだ。
知識はいずれ役に立つ、という考え方に僕らはずいぶん騙されてきた。そもそもが役に立つ知識なんてそう簡単にはおぼえられない、身につかない。20歳を過ぎた大人は役に立つ知識なんて信じていない。仲畑貴志の名前と仕事を知ったところで彼らの脳内にどれほどのドーパミンが放出されるだろう。若者たちにたいせつなことを知識として吸収してほしいと願う社長の気持ちもわからないではないが、肝心なのはどうやって彼らに好奇心を持たせるかではないか。
知的好奇心のレベルを上げていくことが脳への栄養素となり、ドーパミンが分泌されることによって、記憶力がアップする。そのようなことがこの本に書かれていた。

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