2020年7月22日水曜日

トルーマン・カポーティ『真夏の航海』

2014年に他界した叔父は、7月生まれで生きていれば今年今月で78歳になる。
先日青山まで出かけたので墓参りをしてきた。叔父と甥の関係ではあるが、どちらかというとたまにバーで顔を合わせたりして(そしておごってもらったりして)ルーズな間柄だったので花を手向けることもなく、線香をあげるのだってごくまれにしかしない。手ぶらで行って、手を合わせて、母は最近こうだとか、自分はこんなことしてるだのと近況報告をして帰ってくる。傍から見ると(傍から見なくても)だめだめな甥っ子といったところだ。
カポーティの小説は何冊か読んでいる。特にイノセントものと呼ばれている(かどうかわからないが)少年時代を描いたものが好きだ。
実をいうとこの本は知らなかった。十代後半に書かれた幻のデビュー作らしい。書かれてすぐに破棄されたのだが、誰かに拾われ、オークションにかけられ、鑑定の末カポーティの作品と判明した。みたいなことがあとがきに記されている。
タイトルからするとさわやかな青春イノセントものという印象を受けるけれど、読んでみるとそうでもない。どことなく暑苦しく、息苦しい。『遠い声遠い部屋』や『冷血』と似たにおいがする。別に鼻をくんくんさせながら読んでいるわけではないが。
翻訳はイラストレーターの安西水丸。1970年前後、ニューヨークに暮らした氏にとってはなつかしい描写にあふれる一冊だったのではないかと想像する。安西水丸といえば、最近昔買った『シネマストリート』という本を読んでいる。キネマ旬報に連載されていた映画日記みたいな画文集である。くだらなくもおもしろい。昔の人はものすごい数の映画を観ていたのだなあと感心する。
ニューヨークといえば、先日ウッディ・アレンの「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を観た。「おいおい、どんな結末で終わるんだよ、この映画」って感じだった。
映画館を出た後、中村屋でカレーライスが食べたくなった。

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