2019年3月26日火曜日

ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

ずっと常識だと思っていたことがいつの間かそうでなくなっている。
高校生の頃、もう40年以上前のことだが、部活動の練習中に水を飲むとバテやすくなるだとかそんな理由で水分補給ができなかった(戦争中の考え方の名残りという考えもあるらしい)。今、運動時水分補給法みたいな法律が施行されたら当時の指導者たちはこぞって有罪判決を受けることだろう。
歯磨きの仕方だってそうだ。これは50年以上前。歯ブラシを上下に動かして磨くように教わった。それも保健の先生が朝礼台の上で両手じゃなきゃ持てないような巨大な歯ブラシを使い、音楽に合わせてパフォーマンスしていた。もっと昔だと蒸気機関車が走ると畑の作物が育たなくなるなど、こんなことを挙げていたらきりがない。
今風のかっこいい経営者や若者に支持されるオピニオンリーダー的な人が常識を覆せなどと言うが、何も無理して覆さなくても時が経てば勝手に覆されていく。もちろん覆された常識がいつまで常識という地位にとどまるのか知れたものじゃない。
とりあえず思い浮かぶ身のまわりのことでさえ変わっていくのだ。地球とか世界とかグローバルな視点で見たら、もっと目を見張る変化があっておかしくない。そんな気づかなさに気づかせてくれる考え方、ものの見方がファクトフルネスという発想である。
東南アジアやアフリカ、南アメリカが発展途上国で場所によっては未開民族が住んでいて、風土に根づいた不治の病が蔓延しているという印象を50年前以上に僕たちは植え付けられた(もちろん正確にそう教わったわけではなく、あくまで印象としてであるが)。事実=ファクト=客観的統計はそうではない。50年の間にかつての途上国は平均的な豊かさを獲得している。よほどの紛争や天変地異がない限り「健康で文化的な最低限度の」生活を送っている。
長年にわたってそんなことに気づきさえしなかったわれわれの方がよほど未開な民族だ。

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