2014年9月8日月曜日

吉村昭『アメリカ彦蔵』

8月の終わりころからいくらかしのぎやすい日が増えた。
それでもやはり季節の変わり目のせいだろうか、“天候不順”という言葉がよく似合う空模様が続いている。局地的な豪雨、土砂災害などというキーワードが新聞、テレビのニュースやネット上を駆けめぐっている。各地に雨が降っているのはメディアを流通しているこれらキーワードが原因となって大気の状態を不安定にしているからではないだろうか。
8月の終わりに名古屋に行ってきた。2010年4月以来である。
以前からいっしょに仕事をさせていただいた(シニア)クリエーティブディレクターOさんの大送別会に出席するためである。一次会は2時間という制約の中で訪れた200人近くがひとことずつあいさつをするという強引な企画あり、加えて動画やスライドの上映があり、プレゼントの贈呈ありの盛りだくさん。日頃からてきぱきと打合せを仕切るOさんの送別会に相応しい進行だった。しばらくぶりに会う人も多く、会は二次会、三次会と深まっていき、ホテルに戻ったのは3時過ぎだった。
翌日名古屋駅ではやめの昼食を摂った。高校時代の友人がすすめる(というか彼が社長だ)ひさだ家という店でおばんざい弁当をいただく。
品川で新幹線を降り、ふと京浜急行に乗りたくなった。先日読み終えた吉村昭の『アメリカ彦蔵』を思い出したのだ。
横浜のひとつ手前の神奈川駅で下車すると第二京浜国道沿いの小高い丘の上に本覚寺という曹洞宗の寺がある。播磨の水主彦太郎が漂流の後、アメリカにわたり、その後祖国に戻って公使ハリスとともに赴いた場所である。開国当時この寺はアメリカ領事館となっていた。
この寺に領事館が置かれたのは神奈川宿と横浜村を結ぶ渡船場が近いことと、海を見渡せる高台にあったからだと言われている。もちろん今となっては海などビルの向こうにわずかにのぞく程度である。
新幹線のなかで『生麦事件』を読みはじめた。こんどは生麦を歩いてみよう。

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