2010年10月28日木曜日

アベ・プレヴォ『マノン・レスコー』

月に一冊はフランス文学に親しみたいと思っている。
とはいえ、月に一冊司馬遼太郎を読もうとか、村上春樹を読もうとか、IT関連の本とかビジネス書とか、あまり“しばり”をきつくしていくと読書本来の楽しみが失われるのであまり堅苦しいことはやめようとは思っている。
『マノン・レスコー』は正式な題名を『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』といい、著者のアベ・プレヴォも本名はアントワーヌ・フランソワ・プレヴォ・デグジルという。聖職者だったので、みんなから僧プレヴォ(日本的にいうならプレヴォ坊さんみたいなことか)と呼ばれていて、その名前が定着したのだそうだ。なんでそんなことを知っているかというと9月頃NHKラジオフランス語講座でこの『マノン・レスコー』の一部を読む回があり、その際講師の澤田直さんがそう紹介していたからだ。要は受け売りということだ。
ぼくはこの本をたしか20代の、学生時代にいちど読んでいる。いかにも青年たちに受け容れられそうな恋愛小説であるが、その倍ほど年齢を重ねてあらためて読んでみるといまひとつ感動的でない。昔はシュヴァリエ・デ・グリューに感情移入して読んでいたのに対し、今ではむしろその父親の立場で読んでいるからかもしれない。
マノンに溺れるどうしようもない息子に対し、今となっては怒りをおぼえざるを得ないのである。
まあ、ただ歳はとってみるもので、当時はアメリカのヌーヴェルオルレアンという地名が何のことだかさっぱりわからなかったが、今読み返してみるとニューオーリンズだなということが苦もなくわかる。微妙にではあるが、ぼくも成長しているのである。

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