2010年6月22日火曜日

阿刀田高『新約聖書を知っていますか』

サッカーワールドカップ2010。
引き分けなしの決勝トーナメントも壮絶でおもしろいが、まずは予選グループ戦の大詰めがなんといっても目が離せない。
今日からいよいよグループ戦3まわり目。フランスはもう奇跡を待つしかなく、イングランド、ドイツ、スペイン、ポルトガル、イタリアとヨーロッパの強国の苦戦が続く。安定しているのは南米のチーム。やはり南半球の大会のせいだろうか。
ふだんあまりサッカーを観戦することはないが、力の差が歴然とあらわれる試合もあれば、格下と思われるチームが戦術的に上位チームを苦しめ、さらには勝利までするという番狂わせもあって、たまに観るとおもしろいものだ。
特にヨーロッパのチームは守りがしっかりしている。たぶんふだんからディフェンスの練習にじゅうぶんな時間を費やしているのだろう。ディフェンス練習にはオフェンス側が必要だから、当然半分は攻撃練習にもなるし、守りを通じて攻めを知る、要は野球のキャッチャーが配給を読む、みたいなこともあるだろう。守備に時間を割くことで攻撃の練習はおのずと少なくなる。それも攻撃時の集中力向上に役立っているのではなかろうか。

この本は先に読んだ『旧約聖書を知っていますか』と同様、かゆいところに手が届く一冊である。

>このエッセイは、〈旧約聖書を知っていますか〉の姉妹篇とも言うべき試みである。
>欧米の文化に触れるとき、聖書の知識は欠かせない。美術館一つをめぐるときで
>さえ、--この絵は聖書のことらしいけど、どういう背景なのかな--
>と、素朴な疑問を抱いてしまう。
>そんな不自由さを少しでも軽減してくれる読み物はないものだろうか……私が
>二つのエッセイを書いた動機はこれに尽きている。

とあるように、おそらくこの手の知識を最低限身につけていれば、ヨーロッパの絵画の鑑賞や古い教会めぐりが楽しくなること、請け合いである。ただ、せっかく有意義な読書体験も先立つものがなければ、実地に活かす場を与えられない。残念至極である。


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