このところ本を読むことで自分の無知・無教養を知ることが多い。情けなくなる。
浅田次郎は『鉄道員』で直木賞を受賞し、世に出た作家だと思っていた。それ以前に『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞しており、『鉄道員』の前年に『蒼穹の昴』で直木賞の有力候補者になっていたのだ。知らなかった。
歴史は好きで、日本史も世界史も人並みに興味を持ってきたつもりではいる。19世紀末、清は立憲君主国をめざして、日本でいえば明治維新のような近代化が推し進められる。日清戦争に敗れ、欧州列強諸国がますます勢いづいてきた頃のことである。光緒帝と組んだ改革派(変法派)と西太后率いる保守派が対立し、改革派は追われることになる。戊戌の政変というらしい。へえ、そんなことがあったの?と思う僕は実に不勉強であったと飽きれるばかりである。かろうじて名前のわかるのは李鴻章、袁世凱か。
この作品は、戊戌の政変にかかわった人物を描いていく。もちろん創作であるがたいへんおもしろく読んだ。これだけ中国の歴史に疎い僕がそういうのだから間違いない。これから読んでみたいなあと思う方々にはぜひおすすめしたい一冊である(文庫だと四冊であるが)。
2010年にこの作品はテレビドラマ化されている。そういえばそんな番組あったなあと思う。西太后を演じていたのは田中裕子だった。無教養な人間の海馬にはその程度のことしか残されていない。情けないを通り越して、哀しい。
『蒼穹の昴』には続編があるようだ。『珍妃の井戸』『中原の虹』がそれである。その先もまだあるらしい。ちょっとした連作大河小説だ。
魅力的な登場人物にも出会えた。梁文秀と春児である。彼らの行く末も気になるところでもある。恥のかきついでにもう少し先まで読んでみよう。
このシリーズを読み終えたらベルナルド・ベルトリッチ監督「ラストエンペラー」をもういちど観てみたい。きっと新たな発見があるはずだ。
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