2011年1月4日火曜日
川本三郎『きのふの東京、けふの東京』
正月の朝、餅を焼くのが子どもたちの仕事だった。
当時うちには練炭火鉢があって、そこに金網をのせて雑煮の餅を焼く。姉とふたりで。餅のふくらむのがなぜだかうれしいのは今も昔も変わらない。焼いた餅は小鍋に新聞紙をしいて、そのなかに入れておく。
父は雑煮のつゆのなかで餅を煮込んでどろどろにして食べる。ぼくと母親は硬めの餅が好きで、椀に餅を入れてつゆをかける。物心ついてはじめて千葉の父の実家で正月を迎えたとき、祖母がやはりどろどろの雑煮を食べていた。親子は煮る、ではなく、似るものだと思った。
鶏肉の入ったしょうゆだしの雑煮。実はぼくがあまり鶏肉を得意としていないので最近ではさといも、大根、小松菜など野菜だけのつゆである。それはそれでうまいが、物足りなくもある。
姉が京都に嫁いで、白味噌仕立ての丸餅の雑煮をはじめて見たとき、絶句したという。その何年かのち、実家で正月を迎えたとき、わが家の雑煮をうれしそうにほおばっていた。
川本三郎はもとは記者だったっというが、こなれた文章を読むとそのことがわかる。
また記者出身ということがどう影響しているかわからないが、少なくとも足で記事を書くタイプの人であろう。もちろん町歩きに特化した作家であるわけではない。川本三郎を最初に読んだのは『映画のランニングキャッチ』という本だった。映画評論も明快でおもしろい。まるで映画を歩いたみたいに。
近頃下町歩きに興味を持っている。今のような歩き方ではいけない。居酒屋だけをチェックするような歩き方はよくない。生半可な姿勢で歩いてはいけない。そう思った。
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私も今年は姿勢を正して歩き回りたいと思います。ちなみに兵庫県がルーツの私の実家の雑煮は白味噌丸餅です。
返信削除白味噌丸餅経験のないぼくは非常に興味があります。
返信削除ただそれを姉貴に面と向かっていえないのです。
十条探索は思いのほか楽しくなりそうな予感です。
カワーニョさん不在はちょっと寂しいかも。
コメントありがとうございました。