アド・ミュージアム東京で開催されている昭和の広告展を見る。
一連の構造改革で格差社会の到来といわれ、その是正が政治的なテーマになっている。そんな目線で昭和初期の広告をながめていると広告は、消費を刺激し、商業を活発化するだけではなく、都市文化を地方に伝えていく、拡げていくという貴重な役割を負っていたことが実によくわかる。やがて戦争を迎え、広告も冬の時代を迎えるのだが、その復興とともに、新たな表現技術を身につけていく広告コミュニケーションの生命力をも俯瞰して見ることができるのがこの企画展の素晴らしいところだ。
よく広告は時代を映す鏡だといわれるが、たしかにその通り。昭和モダンの時代には豊かさと繁栄を誇示し、戦時体制では時の権力にひれ伏し、復興期には希望を与える。広告はリモコンで動くロボットのようなもので、その作り手、受け手に応じて変幻自在に姿かたちを変える。
実はそれが広告制作の難しいところでぼくたちは日頃どうやって今という時代を、あるいはほんの少しだけ先の生活を描いていこうかと四苦八苦しているわけだ。そういった意味からすれば、昭和の広告も平成の広告もその生まれいずるエネルギーは同一のものなのであり、歴史を振り返って見るとき、そこには何がしかの原点ともいうべき基礎を垣間見ることができるのだと考える。
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